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SAF(持続可能な航空燃料)の開発促進と活用

航空業界ではこれまで、使用燃料の削減という観点からCO2削減に取り組んできました。今後更に削減するためには、使用する燃料自体の質を変える必要があります。この観点から、欧米を中心とした世界各国でSAF(Sustainable Aviation Fuel)の開発や実用化が進められており、2030年以降の本格的な普及が予想されています。このような流れの中で、JALグループとしてもSAF利用のリーディングエアラインとなるべく、「2030年に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換える」という目標を掲げ、官民で連携し、国内外のステークホルダーと 協働してSAFの商業化に取り組んでいきます。

具体的な取り組み(海外)

国際線定期便への搭載

2017年11月に米国シカゴ・オヘア国際空港から成田空港、2019年1月に米国サンフランシスコ国際空港から羽田空港への当社国際線定期便に、SAFを搭載しました。

SAF製造事業への出資

JALグループは2018年9月、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構および丸紅株式会社と共同で、米国カリフォルニア州にあるFulcrum BioEnergy,Inc.別ウィンドウで開く(以下フルクラム社)の株式の一部を取得しました。SAF製造事業への出資としては、日本企業で初めての案件となります。フルクラム社は、通常は埋め立てて廃棄される一般廃棄物を原料としてSAFを製造するプロセスの開発に取り組んできました。製造技術は国際標準化・規格設定機関であるASTM Internationalによる燃料規格も取得しています。2021年にネバダ州の第1号プラントの建設が完了し、2022年中に稼働予定です。さらにインディアナ州での建設計画を発表するなど、今後も複数のプラントの展開を予定しており、SAFの大量生産について、実現性が最も高い企業の一つです。そのため、JALグループとしても、フルクラム社との関係を強化することで北米発便を中心に、同社から供給されるSAFの搭載を進め、CO2排出量削減を実現していきます。

デリバリーフライトへの搭載

2019年度以降、JALグループで受領しているエアバスA350型機について、フランス・トゥールーズのエアバスの工場から羽田空港までのデリバリーフライトにSAFを搭載しています。また、2021年度には、JALグループのATR-42-600型機にもSAFを搭載しました。

ワンワールド アライアンスでの共同調達

2021年11月に、JALとワンワールド アライアンスメンバー8社は、米国カリフォルニア州にある再生可能燃料製造会社のAemetis Inc.(アメティス)社からSAFを購入する意思を共同で表明し、契約しました。米国サンフランシスコ国際空港において、2024年からの7年間にアライアンス全体で合計約130万キロリットルのSAFを調達する計画で、同空港発のJAL定期便に搭載する予定です。
また2022年3月には、同じくワンワールド アライアンスメンバー5社とともに、米国コロラド州にある再生可能燃料製造会社のGevo Inc.(ジーボ)社からSAFを購入する意思を共同で表明し、契約しました。2027年からの5年間にアライアンス全体で合計約75万キロリットルのSAFを調達する計画で、JALでは米国西海岸のロサンゼルス国際空港、サンフランシスコ国際空港、サンディエゴ国際空港発の定期便に搭載する予定です。

具体的な取り組み(国内)

SAFを搭載した初めての飛行

JALは2009年に、アジア初の非可食原料によるSAFを用いた試験飛行を実施しました。植物の「カメリナ」を使ったSAFの搭載は世界で初めての例です。

10万着で飛ばそう!JALバイオジェット燃料フライト

お客さまをはじめとする多くの方々から集めた衣料品(綿)を原料とし、国産SAFの製造に挑戦するプロジェクト、「10万着で飛ばそう!JALバイオジェット燃料フライト」を2018年10月から開始しました。2018年の衣料品回収期間中(約3ヶ月間)に約50社の企業にご協力いただき、全国から約25万着が集まりました。2019年2月から、Green Earth Institute株式会社の技術サポートのもと、公益財団法人地球環境産業技術研究機構が開発したバイオプロセスを使用し、集まった衣料品(綿)からSAFの製造に挑戦。2020年3月下旬にSAFの国際燃料規格であるASTM D7566の認証を取得し、無事燃料を完成させることに成功し、2021年2月には、このSAFを実際に当社定期便に搭載した運航が実現しました。
世界的にはSAFの実用化が進んでいるものの、国産SAFの完成は国内で初めてのことです。この成功により国内の技術力でSAFが製造可能であることを立証することができました。

国産SAFを2種類搭載した飛行

国産SAFの商業化へ向けた第一歩として、実証プラントで生産された木くずおよび微細藻類を原料とした国産SAFが品質検査に合格し、実際の運航で使用可能となりました。
2021年6月に、国産SAF 2種類を同時に搭載したフライトを実施しました。本フライトにより、これまで公的機関、SAF製造事業者、サプライチェーン企業、航空会社などが長年力を合わせて取り組んできた国産SAFプロジェクトが成功しました。

SAFに関する共同レポートの策定

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて普及が期待されるSAFの活用促進に関する市場調査を行い、考察をまとめたレポート「2050年航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」を、全日本空輸株式会社(ANA)と共同で策定しました。

SAFの商用化・普及に取り組む有志団体の設立

  • 日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボ・インターナショナル、全日本空輸株式会社と共同で、国産SAFの商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」を設立しました。
    SAF利用のリーディングカンパニーとして、国産SAFのサプライチェーン構築、利用促進に向けて、業界を横断した国内企業27社(2023年4月現在)とオールジャパンで取り組んでいきます。

官民協議会への参画

日本全体でのSAFの開発・利用促進のため、JALグループは国土交通省が主催する「SAFの導入・促進に向けた官民協議会」に積極的に参画しています。

東京書籍の教育総合サイトEduTown SDGsおよびOnTrip JALにて、JALのSAFに関する取り組み事例「二酸化炭素を減らしてクリーンな空の旅を」が紹介されました。
取り組みについての詳細はEduTown SDGs Webサイト別ウィンドウで開くおよびOnTrip JALサイト別ウィンドウで開くをご覧ください。

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