責任ある調達活動の推進
基本的な考え方
JALグループは、航空運送をはじめ各種事業を行う上で、ステークホルダーや社会からの信頼を築き、持続可能な社会の実現に向けて貢献していくため、公正公明に調達を行います。品質・価格・納期といった観点のみならず、お取引先さまとの共存共栄の関係を目指し、地球環境保全、人権尊重、適正な労働慣行といった持続可能性に配慮した責任ある調達活動を進めていきます。
JALグループサプライヤー行動規範
持続可能性に配慮した責任ある調達活動を進めるために、お取引先さまにご理解と遵守をお願いする項目として「JALグループサプライヤー行動規範」を策定しています。
本規範の策定にあたっては、国連グローバル・コンパクトの人権、労働、環境、腐敗防止の4分野・10原則や、持続可能性に関わる各分野の国際的な合意や規範などに細心の注意を払い、以下の内容を織り込んだ行動規範としています。
JALグループサプライヤー行動規範の項目
- 1.品質確保
- 2.人権・労働
- 3.職場環境における安全衛生
- 4.環境
- 5.ビジネスマネジメント
- 6.サプライヤーへの展開
- 7.地域や社会への貢献
- 8.社内の取り組み体制の構築
お取引先さまとのパートナーシップ
当社は内閣府や中小企業庁が主導する「パートナーシップ構築宣言」に賛同し宣言を公表しています。
お取引先さまと定期的な対面、メール、オンライン会議などを通じて意見交換や課題確認を行い、お取引先さまとのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の見直しに積極的に取り組みます。

サプライチェーンESGプログラム
航空運送をはじめとするJALグループの事業は、多種多様なお取引先さまのサプライチェーンによって支えられています。このサプライチェーン全体において、持続可能性に配慮した責任ある調達活動を進め、ESGの観点で重大なリスクと影響を特定し対処するため、サプライチェーンESGプログラムを運用し、健全なサプライチェーンを実現していきます。
プログラムの内容
(1) 取締役会での目標設定と進捗状況の確認およびリスク管理
取締役会や社長を議長とするサステナビリティ推進会議やリスクマネジメント会議において目標を設定し、進捗状況の確認およびリスク管理を通じてプログラムを推進しています。
推進体制については以下をご参照ください。
(2) 「JALグループサプライヤー行動規範」の遵守の取り組み
お取引先さまに対して、「JALグループサプライヤー行動規範」を提示し、ご理解と遵守の依頼を行っています。
(3) サプライヤーアセスメントの実施
ESGの観点から重大なリスクと影響を特定し対処するため、お取引先さまや扱う商材のESGリスクを評価し、アセスメントを行っています。その結果、改善が必要な場合には、当社からお取引先さまに助言やサポートを行いますが、定められた期限までにお取引先さまが当社の求める基準を満たなかった場合には取引(契約)の停止を含め見直しを行います。
また、アセスメントに代わるアプローチとして、ESGの適合が確認された認証品を取り扱うお取引先さまを、ESGパフォーマンスの高いサプライヤーとして優先的に選定しています。例として、森林資源に配慮された国際的な認証を受けた木材や紙製品、MSC認証*1やASC認証*2の認証品を採用しています。
*1 水産資源や海洋環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業に対する、海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)による国際的な認証制度
*2 環境に負担をかけず地域社会に配慮して操業している養殖業に対する、水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)による国際的な認証制度
(4) サプライチェーンESGプログラムの社内調達担当への教育や周知
調達部門に対し、責任ある調達活動の取り組みの意義、サプライチェーンESGプログラムに加え、新たな法律、ガイドライン、実地確認における改善状況の周知など、ESG観点の教育や周知活動を定期的に実施しています。
(5) 健全な購買活動に向けた自社調達活動の振り返り
当社の購買活動によって、お取引先さまが「JALグループサプライヤー行動規範」の遵守を妨げられていることはないかを確認するため、調達部門に対して、年に一度、お取引先さまとの購買活動についてアンケートを実施し、その内容を点検しています。
主な取り組み
サプライチェーンESGプログラムでは、お取引先さまや扱う商材のESGリスクなどの大小に応じてお取引先さまへのアセスメントと支援の取り組みを行っています。
サプライヤーアセスメント
(1) 全てのお取引先さまに対して
「JALグループサプライヤー行動規範」を提示し、ご理解と遵守の依頼を行っています。
(2) 重要なお取引先さまに対して
サプライチェーン上におけるESG(環境、人権、労働、腐敗防止など)リスクの大きさや、JALグループへの依存度の大きさに重きを置いた重要なお取引先さまを選定し、以下のデスク調査、実地確認や支援を行います。
ESGリスク選定のプロセスでは、製品が最終的に生産される工場の所在国における児童労働の懸念といった国特有のリスク、技能実習生や移住労働者、長時間労働の懸念があるといった業界特有のリスク、衣料品に関連する強制労働などの商材特有のリスクを考慮しています。
加えて、当社のESG戦略を遂行するうえで不可欠な、省燃費機材とSAFを扱うお取引先さまを重要なお取引先さまとして選定し、確実な調達を行うため、日々コミュニケーションを行っています。
重要なお取引先さまに対しては、以下のアセスメントを行い遵守状況を確認しています。
デスク調査
重要なお取引先さまに対して、Sedex*3や当社独自の自己評価アンケートの回答をお願いしており、アンケートへの回答を通じた遵守状況の確認を進めています。
*3 サプライチェーンにおける責任あるビジネス慣行の実現を目指し、企業の倫理情報を管理、共有するプラットフォームを提供する2004年に英国で設立された非営利団体
実地確認の実施
デスク調査に加え、特に人権リスクに特化した実地確認を行っています。外部有識者によるワークショップを実施し、そこで得た知見を通じ実地確認の手法を定め、運用しています。自己評価アンケートの結果、人権の観点で確認が必要と考えられる重要なお取引先さまについては、当社の調達部門の担当者がお取引先さまを現地訪問の上、現場確認・文書確認・労働者インタビューなどを行います。懸念される所見が確認され、改善が必要な場合には、改善計画書の提出依頼や改善のサポートなどの人権への負の影響の防止・軽減への働きかけに取り組んでいます。
〔改善事例〕
- 事例1. 多国籍な外国人労働者に対する安全に関する掲示物の多言語化
- 事例2.人権尊重に関する全従業員への教育の実施

多言語化された掲示物の様子
第三者による監査
アセスメントの一つとして、第三者機関による実地監査を実施しています。ESGリスクが特に高いと考えられる場合、SMETA監査*4の実施の対象としています。当社では、制服を扱うお取引先さまに対して、新たにソーシング先を選定する段階で実施を依頼しています。

*4 SMETA監査(Sedex Members Ethical Trade Audit)とは、グローバルサプライチェーンにおける企業倫理の向上を目的として策定され、世界で最も広く使用されている社会監査のこと。
お取引先さまへの支援
健全なサプライチェーンを構築するためには、「JALグループサプライヤー行動規範」の遵守を依頼するだけでなく、お取引先さま自身の成長も欠かせないと考えています。そのため、以下のような取り組みを行っています。
サプライチェーンESGプログラムの周知
全てのお取引先さまへ、本取り組みを当社Webサイト上でお知らせをしています。また、重要なお取引先さまに対して、現地訪問もしくはオンラインミーティングなどを通じて、サプライチェーンESGプログラムの普及や人権に関するガイドラインなどの周知を行い、ESG/SDGsに関する理解のさらなる向上に努めています。
重要なお取引先さまへの周知の内容
- サプライチェーンESGプログラム
- JALサプライヤーホットライン(苦情処理窓口)
- 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
- 経済産業省「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」
- 人権侵害の事例など
お取引先さまへのベンチマークの提供
お取引先さまがよりよいESGパフォーマンスを発揮するために、同業他社との比較を含めたベンチマークの提供や他社での取り組み事例の紹介などを行っています。二次サプライヤーについても、重要な一次サプライヤーから同様にフィードバックを実施していただいています。
〔ベンチマークの事例〕

お取引先さまへのテクニカルサポート
自己評価アンケートや実地確認の結果、評価が当社の求める基準に満たず改善が必要となった場合、お取引先さまに「改善計画書」の提出をお願いするとともに、改善に向けて、問題となる理由や改善に向けて求められる対応といった情報提供などのサポートを実施しています。
加えて、重要な一次サプライヤーと連携し、二次サプライヤーの健全性確認に必要な自己評価アンケートの提供やESGの取り組みに関する情報提供などを通じて、お取引先さまのスキル向上のサポートを実施しています。
JALサプライヤーホットライン
JALグループは、サプライヤーアセスメントだけではなく、お取引先さまおよびその従業員の方からの相談・通報を受け付ける「JALサプライヤーホットライン」を設置し、お取引先さまの従業員が相談や通報を直接JALグループに届けられる仕組みを整備しています。ホットラインは日本語、英語での受け付けに対応しています。詳細については、以下の「JALサプライヤーホットライン」をご参照ください。
実績
サプライヤースクリーニングのKPI
サプライチェーンESGプログラムの範囲と進捗状況
サプライヤーの是正措置計画の範囲と進捗状況
支援を行ったサプライヤーとその進捗状況
※取り組みの実績における開示項目については、GRIスタンダード414-2「サプライチェーンにおけるマイナスの社会的インパクトと実施した措置」を参考に開示しています。