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気候変動への対応

基本的な考え方

JALグループは、この豊かな地球を次世代に引き継ぐ責任を果たすため、「JALグループ環境方針」を定め、さまざまな取り組みを推進しています。
現在地球上では、さまざまな環境問題が顕在化していますが、JALグループは社会の持続可能性にとって気候変動への対応が特に重要な課題であると認識していることから、航空運送事業者の責務として、CO2排出量の削減をはじめとするさまざまな取り組みを着実に推進すべく、2020年6月の株主総会で、2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロエミッション)を目指すことを宣言しました。また、2021年2月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、今後も定期的にTCFDおよびその後継となるISSB*1基準、およびSSBJ*2基準を参考にした情報開示を実施していきます。さらに、SBT*3イニシアティブの動向を注視し、SBTイニシアティブが目指す2050年までのネット・ゼロエミッション実現に向けて取り組んでいきます。
なお、2023年5月に発表した中期経営計画ローリングプラン2023において、JAL Vision 2030の実現を目指すとともに、ESG戦略を「価値創造・成長を実現する最上位の戦略」と位置づけています。気候変動への対応においては、リスクの低減と機会の獲得を通じて中長期的な成長を実現し、持続的な企業価値の向上につなげていくため、日々の事業活動におけるCO2削減に真摯に取り組むことはもちろんのこと、ステークホルダーとの連携を通じて、燃料効率を高めるための技術革新や持続可能な航空燃料(SAF)などの製造開発の促進にも積極的に取り組んでいます。また、カーボンクレジット活用や除去新技術への貢献を通して、バリューチェーン外での脱炭素の取り組みも進めています。

*1 ISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)
気候変動に限らず、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)情報を国際的に統一した基準で開示するために設立された機関およびイニシアチブの名称。
*2 SSBJ(Sustainability Standards Board of Japan:サステナビリティ基準委員会)
ISSB基準を取り込み、日本独自の基準を作るために設立された機関、および基準の名称。
*3 SBT(Science Based Target:科学と整合した目標)
パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。

ガバナンス

JALグループは、取締役会が、気候変動・生物多様性に関する執行の取り組みに関し、定期的な報告(2024年度実績: 3回)を通じて強い監督機能を発揮しています。取締役会は、取締役候補の選任*4、執行役員の選任、報酬の決定*5ならびに重要な意思決定を通じて、高い透明性の下、強い経営監視機能を発揮します。執行においては、社長が議長を務めるサステナビリティ推進会議で、基本方針の策定、重要な目標の設定と進捗管理を実施するとともに、課題に対する対応方針を審議・決定します。ESG推進部担当役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会で、環境マネジメントシステム(EMS)を通じて把握した課題やGX関係役員会(2024年度実績: 7回)を通じて確認した課題を審議の上、サステナビリティ推進会議に報告します。
なお、中期経営計画には気候変動への対応を経営戦略に織り込んだ上で、事業を通じた社会課題の解決に向けたサステナビリティ全般における8つの重要課題(マテリアリティ)を定めています。これらの課題に対する着実な取り組みを通じ、持続可能な事業運営および企業価値の向上を実現するという強い意志の下、外部ESG評価やCO2排出削減目標などを指標として役員報酬に反映しています。

ガバナンス体制。取締役会、社長、サステナビリティ推進委会議、サステナビリティ推進委員会。

* GX関係役員会 出席者:総務本部、経営企画本部、調達本部、路線事業本部、ソリューション営業本部、貨物郵便本部、経営管理本部、(事務局)ESG推進部

2024年度に取締役会、およびサステナビリティ推進会議体で上程・報告された事案

  • サステナビリティに関する重要課題・年度目標および進捗
  • 2050年までのCO2排出量実質ゼロに向けたロードマップの改定
  • TCFD、TNFDに関する情報開示、EMSレビュー

*4 スキル・マトリックスについて
*5 役員報酬について(p.62)PDF

戦略

シナリオ分析

JALグループは、2018年に環境省が主管する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」へ参画し、国際エネルギー機関(IEA)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による今世紀末までの平均気温上昇が「4℃未満」と「2℃未満」の2つのシナリオ(RCP8.5*6, RCP2.6*7)に基づき、2030年の社会を考察しました。

*6 RCP8.5シナリオ:IPCC第五次報告書における高位参照シナリオ(2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ)
*7 RCP2.6シナリオ:IPCC第五次報告書における低位安定化シナリオ(将来の気温上昇を2℃以下に抑えるという目標の下に開発された排出量の最も低いシナリオ)

4℃シナリオ 4℃の世界は、現状の延長線上(航空業界の構図はほぼ変わらず) ※CORSIA※1スキーム自体は現行プランで進展する前提 政府 一部の国/地域が炭素税を導入 燃費規制の強化 低炭素/脱炭素のトレンドが鈍化 次世代航空機や代替航空燃料(SAF)※2の開発・普及への支援は限定的(政府とのリレーションの強化・維持) 新規参入者 LCC参入者継続的増加 低価格志向の顧客をターゲットとしたLCCの参入が従来同様のペースで進む 業界/自社 コストが増加 規制が強化され炭素価格上昇(影響小) 燃費効率は向上するが、次世代航空機の開発やSAFの普及は一定程度にとどまり、業界の構図はあまり変わらない 従来型ジェット燃料への依存度は高く、原油価格の高騰で燃料コストが増加 Action 燃費効率、BCP強化、気候変動の激甚化を考慮した航路の見直し サプライヤー(原材料) 原料コストの上昇 SAFの普及が緩やかに進み、SAF等への切り替えコストは一定程度減少する 原油由来のジェット燃料価格は高騰 (SAF開発へは一定程度投資を進める) サプライヤー(機体メーカー) 燃費改善は継続 機体の燃費効率が向上 超音速旅客機開発が進む (次世代航空機開発への投資は従来同様のペースで進める) 顧客 国際線の需要は大幅拡大 途上国を中心に需要が拡大 人口増加・経済活性化により物流需要が拡大(貨物) 低炭素への関心は限定的で鉄道などへのシフトは起きない 異常気象が現在よりも激甚化し、フライトキャンセルや遅延が増加 (需要拡大を見据えた事業計画策定、需要に沿った航路開発、コードシェアの拡大、気象情報収集・分析の強化) 代替品 特に変化はなし
2℃シナリオ 2℃の世界では、SAFの普及とモーダルシフトの影響で、 サプライチェーンやビジネスモデルの見直しが必要となる可能性も 政府 低炭素移行へ向け一定の政策展開 脱/低炭素化に向け、炭素税を導入 燃費規制の強化 脱/低炭素化に向け、SAFの開発、普及を後押し 一部の国/地域では、GHG排出の多い旧型ジェット エンジン搭載機の発着を規制(罰金支払) 一部の国/地域では気候変動対策の一環として土地利 用の規制を強化。結果SAF生産に必要な原料(農作 物)に影響 新規参入者 電動航空機を用いた参入者登場 国内移動を中心に、電動航空機による輸送 を中心とした新興航空会社が台頭 サプライヤー(原材料) 原料コストの変動 SAFが普及し、燃料コストが下落する 地域と、供給が追付かず価格が下がらない地域でコストに差 Action:SAF開発への積極的な投資 SAF確保、サプライヤーとのリレーション強化 (オープンイノベーションの促進) サプライヤー(機体メーカー) 燃費改善は継続 次世代航空機の開発が前進 燃費効率に優れた次世代航空機ニーズ 向上 (機体メーカーとのリレーション強化、  次世代航空機開発への投資の拡大) 業界/自社 低炭素化に向けた動きが活発 途上国の経済発展などにより、航空運航需 要拡大 一部鉄道や船舶などの環境負荷の低い移動 手段にシフトし、需要の伸びは鈍化 規制が強化され、炭素価格のコスト上昇 SAFの導入が進む Action:政府とのリレーション強化 (SAF普及ロビー活動) (農作物以外の原料によるSAF開発の検討) 顧客 国際線の需要は拡大 途上国を中心に需要が拡大 環境への関心が高まり、一部、鉄道や船舶などの環境負荷のより低い移動/輸送手段にシフト (燃費効率向上やコスト削減による運送コストの低減) Action:機体投資計画の見直し、SAFの確保とサプライチェーンの構築、給油を考慮した航路の見直し 代替品 鉄道、船舶利用へのモーダルシフト(鉄道などとの連携)

JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けた移行計画

JALグループは1.5℃シナリオを前提に、2020年6月の株主総会において2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げました。その後、IEA SDS*8シナリオなどを踏まえてリスクと機会を考慮して具体的なロードマップを作成し、2021年には「2021₋2025年度JALグループ中期経営計画」に反映、2025年に同ローリングプランでロードマップを更新しました。
JALグループの航空機が排出するCO2の削減については、ICAOやIATAでの最新の検討資料やATAG*9の「WAYPOINT 2050」*10などの最新のシナリオを参照しつつ、2050年までのCO2削減のシナリオを検討し、今後の課題と打ち手について議論を進めています。シナリオ作成にあたっては、総需要に基づくRTK(有償輸送トンキロ)の伸びを国際線・国内線それぞれに設定の上2050年までのCO2総排出量を算出し、各取り組みによる効果を反映しました。

*8 IEA SDSシナリオ:IEA(国際エネルギー機関)による持続可能な開発目標を完全に達成するための道筋である、持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario)
*9 ATAG(Air Transport Action Group)航空業界のサステナビリティを推進するグローバル連合
*10 WAYPOINT 2050別ウィンドウで開く

JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けたロードマップ

ネット・ゼロエミッション達成に向けた推進体制強化のため、サステナビリティ推進委員会の下に、GXに関する議題に特化した会議体としてGX関係役員会を設置し、議論を行っています。議題によっては、取締役会まで上程しGXに関する施策の決定を行っています。
特に注力すべきと認識しているSAF*11の活用については、調達本部の中に専任の国産SAF推進タスクフォースを設置し、国産SAFの製造にも積極的に関与するなど、取り組みを加速させるとともに脱炭素化に向けた投資などを促進するためのインターナルカーボンプライシング(ICP)の活用など、多種多様な手法によりGX戦略を推進しています。

*11 SAF(Sustainable Aviation Fuel):持続可能な航空燃料。原料の生産・調達から製造、輸送、燃焼までのライフサイクルで、従来のジェット燃料比でCO2排出量を平均80%削減可能とされる。

国産SAF製造に向けたサプライチェーン構築

国産SAFの安定供給を目指すため、SAFの原料となる廃食油や木材由来のバイオエタノールの調達への貢献の取り組みを進めています。2023年6月には、全国の小売店や自治体の施設などで家庭の廃食油を回収するプロジェクト「すてる油で空を飛ぼう」を開始し、全国64地点(2025年5月時点)で回収活動を展開しています。また、2025年3月には、SAFに利用可能な国産木材由来のバイオエタノール生産を目指す取り組み「森空プロジェクト」へ参画しました。今後も引き続き、資源循環による脱炭素化社会と地域の活性化、持続可能な未来の実現に取り組んでいきます。

JAL Corporate SAF Programの開始

SAFを活用することにより創出されるCO2削減の環境価値を証書化し、JALグループのフライトをご利用の法人のお客さまに提供する新たな取り組み「JAL Corporate SAF Program」を2024年4月から開始し、2024年度は10社の企業にご利用頂きました。この事業を通じ、お客さまとともにSAFの普及と拡大、サプライチェーンの脱炭素化を実現します。

除去新技術の活用

将来の脱炭素手法の多角化への対応として2024年3月には除去新技術の1つであるDirect Ocean Capture技術を持つCaptura社(米国)、2024年8月にDirect Air Capture技術を持つHeirloom社(米国)へ投資を行いました。引き続き2社との提携を強化していきます。

インターナルカーボンプライシング(ICP)の活用

2023年4月に、脱炭素の取り組みを加速すべく、ICP(Internal Carbon Pricing)をシャドウプライスとして投資判断の1つに組み込みました。当社のICPはスコープ1、2が対象となり、CO2排出量1トンあたりの基準価格を15,000円と設定して、脱炭素施策を推進しています。(2024年度の活用事例:3件)

リスクと機会

気候変動は「安全・安心な社会」における事業運営を前提とした航空運送事業に対して負の影響を及ぼし、結果として、事業の継続を考える上で甚大なリスクとなる可能性があります。
特に近年、気候変動による物理リスクが顕在化する例が多く見受けられます。
また、航空会社によるCO2削減をはじめとする気候変動への対応は、省燃費機材への更新やカーボンプライシングへの対応など、さまざまな財務上のインパクトを与える可能性があります。
JALグループでは、事業に影響を与えるこれらの要素をTCFDにおける気候変動に関するリスク・機会の分類に沿って整理・検討し、下表に記載しています。なお、ここでいう「時期」および「発生時の影響」の区分とは、次に定めたとおりです。リスクと機会は、毎年度見直しを行っています。以下は、2025年7月30日の取締役会において確認したものです。

リスク

*12 CORSIA: Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation

機会

リスク管理

JALグループでは、リスクを組織の使命・目的・目標の達成を阻害する事象または行為と定義し、半期ごとにリスク調査と評価を行っています。特に重要と評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とするグループリスクマネジメント会議でリスク管理の状況を確認し、対応策を審議・決定します。
経営戦略上の重点課題である、気候変動や生物多様性などの環境課題については、関連する国際社会の法・規制や政策動向などを踏まえつつ、環境マネジメントシステム(EMS)に基づくPDCAサイクルを通じてリスク管理を実施しています。
気候変動に関するリスクについては、移行リスク・物理リスクともに、JALグループ全体のリスクマネジメント体制において管理しています。

指標と目標

JALグループでは、豊かな地球を次世代に引き継ぐために、CO2排出量をはじめ廃棄物や水使用量などの環境データについて指標と目標を定めて取り組み、その結果を開示しています。

航空運送という事業の特性上、CO2排出量の内訳は航空機からの直接排出が約99%を占めています。この事実を踏まえ、航空機からのCO2排出量削減を最優先課題として対応しています。さらに、排出量の約1%を占める地上施設・地上車両などの航空機以外からのCO2の削減についても同様に高い目標を定め、グループ一丸となって取り組んでいます。技術革新や市場形成などに関するさまざまな課題を克服するために、国内外のさまざまなステークホルダーとの連携・協働を強化しつつ、CO2削減の国際的な枠組みに則り、日本政府の「クリーンエネルギー戦略」とも整合しながら、最先端の取り組みで業界をリードしていきます。

2030年までのCO2削減の目標・取り組み

JALグループは、2050年CO2排出量実質ゼロの実現に向けたマイルストーンとして、2021年5月に本邦航空会社として初めて2030年度における具体的な目標(総排出量2019年度対比10%削減)を掲げました。これまで、アライアンスでのSAFの共同調達や機材更新時のESGファイナンス活用などに率先して取り組み、世界の航空業界の脱炭素化を推進してきました。今後も、省燃費機材への着実な更新、日々の運航の工夫(JAL Green Operations)の実施、またSAF活用の具体的な目標を定めた上での戦略的な調達、といった従来の取り組みを加速することに加え、カーボンクレジットの活用や除去や回収などの新技術の活用検討を実施することにより、目標の達成に向けて果敢に挑戦します。
なお、SAFについては海外における製造・サプライチェーン構築の動きが加速していますが、日本国内でも政府の「経済財政運営と改革の基本方針2024」「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」「クリーンエネルギー戦略」「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」の中で、SAFの製造・流通を推進していくことが明記されました。JALグループは、2030年度に全搭載燃料の10%以上をSAFに置き換えるという野心的な目標を実現するため、官民の連携や国内外のステークホルダーとの協働を通じ、SAFの商用化促進に向けて積極的に取り組みます。
また、間接排出についても目標を設定し、着実に削減してきましたが、今般、地上の直接排出(車両、地上施設)に関する目標の設定により、航空機以外における2030年度の排出量目標を、2019年度対比35%減と定めました。このことにより、航空機以外のCO2排出量削減についての取り組みをさらに加速します。

直接排出、Scope1。基準年、FY19実績、921万トン。FY24実績、969万トン。2025年度CO2削減目標。総排出量、921万トン未満。2019年度未満。2030年度CO2削減目標。総排出量:828万トン未満。2019年度対比90%。パリ協定などをふまえ、自主的に深堀り。2050年、実質ゼロ。間接排出、Scope2。基準年、FY13実績、8.0万トン。FY24実績、5.7万トン。2025年度CO2削減目標。総排出量、5.4万トン未満。2013年度対比67%。2030年度CO2削減目標。総排出量:4.0万トン未満。2013年度対比50%。2050年、実質ゼロ。

*13 2021年に連結子会社化したスプリング・ジャパンの2019年度CO2排出量12万トンを含む

具体的な取り組みと情報開示(航空)

航空機からのエネルギー起源CO2排出量の削減にむけた各種取り組みにより、エネルギー消費量の削減を目指します。

省燃費機材への更新

2024年1月から国際線にエアバスA350-1000型機の就航を開始しました。2027年度から、国内線主力機材として運航しているエアバスA350-900型機を新たに国際線に20機導入するとともに、2028年からボーイング787-9型機を追加で10機導入します。また国内線では、ボーイング737-800型機の更新機材として2026年からボーイング737-8型機21機の導入に加え、ボーイング767型機の更新機材として2028年からエアバスA321neoを11機導入します。これらの機材は、省燃費かつ低騒⾳であり、従来機と比較してCO2排出量を15%~25%程度削減することができます。
また、2020年に実施した公募増資で調達した資金や2022年3月以降のESGファイナンスを活用し、省燃費機材への更新を着実に継続することでCO2排出量削減に取り組んでいきます。

運航の工夫

安全運航の堅持を大前提に、運航中の操作のタイミングや操縦の工夫によるエコ・フライトの取り組み、運航する機体の軽量化や定期的なエンジン内部の洗浄による燃費の向上など、CO2削減に向けたさまざまな工夫を行っています。
また、組織横断的に活動する「JAL Green Operations」の推進により、各取り組みの状況をモニターし、進捗を社内で共有することで、CO2排出量削減に向けたPDCAサイクルを回しています。

SAFの活用

JALグループは「全燃料搭載量のうち、2025年度に1%、2030年度に10%以上をSAFに置き換える」という目標を掲げています。SAF利用のリーディングエアラインを目指し、SAF製造会社への出資、国内で初めて製造に成功した国産SAFの定期便での利用、国産SAFのサプライチェーン構築に向けたパートナー企業との協働など、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。

カーボンクレジットへの対応

ICAO CORSIAへの対応に加え、独自の取り組みとして、ご搭乗いただくフライトで排出するCO2を、お客さまご自身でオフセットできる選択肢として、「JALカーボンオフセット」をCHOOOSE社の協力の下で提供しています。

トピックス

TCFDが発行するAnnual Report 2021に、JALグループの気候変動に関する情報開示が、開示の好事例として掲載されました。(49ページ、英語のみ)

さらに、TCFDコンソーシアムが発行する「気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0(TCFDガイダンス 3.0)」事例集において、過去の排出量、目標、対策が網羅されており、需要が増大する中での排出削減の位置づけが理解でき、また、2050年と併せて2030年の中間目標も設定されていることが評価され、好事例として掲載されました。(31ぺージ)

具体的な取り組みと情報開示(地上施設/地上車両)

航空機以外からのエネルギー起源CO2排出量の削減にむけた各種取り組みを行うことにより、エネルギー消費量の削減を目指します。
地上施設分野において、エネルギー消費原単位を平均1%以上低減する目標を掲げて取り組みを推進し、経済産業省が実施する省エネ法「事業者クラス分け評価制度」において、2015年から10年連続で優良事業者(Sクラス)に認定されています。間接排出に関する2030年度目標(2013年度対比50%減)達成に向け、施設LED化の更なる促進、空調制御システムの導入、非化石証書の購入(JAL SKY MUSEUM専有部分を実質ゼロ運営)など、取り組みを推進しています。
地上車両分野において、航空機の地上ハンドリングに使用する車両の電動化やバイオディーゼル燃料を導入するなど、空港で使用する車両からのCO2排出量の削減にも積極的に取り組んでいます。
また航空機や航空機以外におけるCO2排出量削減に加え、機内食やラウンジでの食べ残し・調理時の食品廃棄の削減・食材の生産も含めたサプライチェーン全体のCO2排出量削減などに取り組むことや、航空機による大気観測「CONTRAILプロジェクト」への協力など、さまざまな形で、気候変動への対応に取り組んでいます。

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